こんにちは院長のソメヤです。
当院の元患者さんで、私の尊敬している方がいます。この方のブログが面白いので時々拝見させて頂いています。
この方は現在、整体の先生の所に通われているようです。非常に良い先生の様で、私が治す事が出来なかった事は残念ですが、患者さんにとってベストだと感じる先生が見つかった事は素晴らしい事なので、嬉しく思います。
その治療に関する記事の中に、整骨院の治療費が安い事と白紙のレセプト(請求用紙)にサインしている事が疑問だったと書いてあったので、これは私の説明が不十分だったと思い、現在通われている方、これから通院を検討されている方に対する説明も兼ねて書く事にしました。
接骨院・整骨院(柔道整復師)は各種保険取扱可能な国家資格を有しています。その保険を適用して治療を行うと皆さんは窓口で幾らかの治療費を払うだけで済みます。残りは院で請求する訳ですが、これを『受領委任払い』と言います。
本来柔道整復師の施術に関しては原則『償還払い』でないといけないのですが、この償還払いは患者さんが全額治療院に支払って、自分で保険者に請求してもらうという方法なんです。これでは患者さんの負担が増えてしまうので、委任状を書いてもらう形で院が代わりに請求しますよ。となったのが委任払いです。つまり受領委任払いは患者さんの為のシステムなんです。
では委任状はいつ書いてもらうのか?請求内容も決まっていない白紙の委任状(レセプト)にサインをする事は問題も多く、賛否両論有ります。ですが全ての患者さんが月末にサインに来てくれるでしょうか?柔道整復師が一人一人尋ねないといけないのでしょうか?こう言った問題が有る為に、月始め或いは初回にサインをもらうんです。請求自体は毎月の事なので月1枚書いてもらわないといけなくなります。
次に治療費の問題です。健康保険を適用すると1〜3割の窓口負担ですよね。我々の治療で保険請求可能な範囲は実は診察と罨法(冷やしたり温めたり)と電療(電気治療1つのみ)なんです。
治療の為の手技等は保険対象外なんです。そこで少々実費での支払いが加わります。その為に数百円の治療費になるんですね。病院の様に全てが保険適用になれば窓口の支払いは少し上がると思いますが、我々には許されていません。その代わり歯科医師と柔道整復師だけが『混合診療』が例外的に認められている訳です。(柔道整復師は医療費ではなく療養費を請求するので混合が認められていると言う意見も有ります。)
それでは実費ならなんでもやって良いのか?これも違うんです。治療行為の一部としてマッサージ等の手技は認められていますが、マッサージそのものに金額を請求してはいけないんです(マッサージ師の業務範囲)。 いくら混合診療が認められているとはいえ、一定の線引きが必要と言う事ですね。
じゃあ保険範囲内だけでとなると電気かけて終わり。となるので、少しでも早く良くしてあげたいと考えれば手技を利用します。(包帯やその他の道具も請求できません。)保険適用している以上、必要以上の手技を提供して高額を請求する事はやはり許されていません。
では全て高額な自費治療にするか?保険適用をやめるか?やめるのは構いません。全部自費でもやっていける技術は有ります。でも、それなら柔道整復師である必要はないです。民間資格と呼ばれる無資格診療で良い訳です。その代わり、その施術を受けられるのはごく一部の人に限られます。
健康保険は何のために有るのか?誰もが一定の水準の治療を適正な料金で享受できるためです!怪我も病気も必ず1回で治る物ばかりでは有りません。
1回で治る!と謳う先生もいるでしょう。でも、どうですか?骨折したとして1回で骨が付きますか?元の位置に戻すのは当たり前です。じゃあ他の怪我は?1回で治ったと勘違いさせる事は簡単です。その状態を1週間程度続けるだけで良いなら楽勝です。それで?それは治ったと言いますか?1回で治せないだけの言い訳だと思いますか?
1回で治して、2度と通院がいらない様に出来るなら凄い高額な治療費を請求します。ですが人間の身体はそんなに簡単じゃないんです。皆さんの生活スタイルが違う訳ですから、短期間で治る人もいれば、長期間で痛めた人は長期間で治す必要が有るんです!ただ、その時間を少しでも短くする為の手伝いをするのが我々なんです。
長くなってしましましたが、最後に一つ。
私は全ての治療法に長所・短所があると思います。その長所・短所が、その時の患者さんの状況にマッチしているかが大事なんです。当院では、それぞれの治療法の長所・短所を説明します。うちの治療が全てで万能(病気・怪我問わず有効)だと思ってないからです。いつの日か万能な治療法を手に入れたいと思いますけどね。